サラリーマン漫画「フジ三太郎」などで知られる漫画家サトウサンペイ（本名佐藤幸一＝さとう・ゆきかず）さんが7月31日午前11時30分、誤嚥（ごえん）性肺炎のため東京都立川市の病院で死去した。91歳だった。名古屋市出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。喪主は妻みどりさん。

みどりさんによると、2カ月ほど前に誤嚥性肺炎と診断され、1カ月ほど自宅で療養していたがその後容体が悪化し、救急搬送されたという。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、面会はかなわず、最期もみとることができなかったという。ここ2年間ほどは、漫画や広告などの仕事をすることはなく、自著を読み返したりするなど、穏やかな生活を送っていたという。

1929年に名古屋市生まれたサトウさんは、大阪市で育った。50年に京都市の工業専門学校を卒業後、百貨店の大丸に就職した。大丸の大阪店で勤務しながら、新大阪新聞に連載した「大阪の息子」で漫画家デビューした。

60年代には、週刊漫画サンデーに「アサカゼ君」を連載し、65年からは朝日新聞で4コマ漫画「フジ三太郎」をスタートさせた。主人公の三太郎が会社や家庭などで巻き起こす事件や出来事などを描き、とぼけた主人公のシニカルでウイットに富んだキャラクターが人気となった。社会問題への怒りや抗議などのほか、日本のサラリーマン社会の変化も積極的に描き、91年9月まで約26年もの間、8168回にわたり連載を続けた。広告の仕事にも携わったほか、「平凡パンチ」の表紙なども手掛けた。

主な著書に「ドタンバのマナー」「パソコンの『パ』の字から」など。97年に紫綬褒章を受章。17年には日本漫画家協会賞特別賞を受けた。