将棋の豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(棋聖・王位=19)が挑戦する叡王戦5番勝負第3局が9日、名古屋市の老舗料亭「か茂免」で行われ、先手の藤井が豊島を破り、シリーズの対戦成績を2勝1敗とし、史上最年少3冠に王手をかけた。第4局は22日、名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われる。

1勝1敗のタイで迎えたシリーズの流れを大きく左右する一番。先手の藤井が角換わりを採用した。両者が得意とする戦型。藤井対豊島戦では5局連続しての「角換わり」となった。両者とも入念な研究手だったため、序盤からハイペースで進む。

65手目、ネットで解説を務めていたプロ棋士を驚かす藤井の一手が指された。先手8四角。受けの一手だが、プロもあまり指さない新感覚の一手だった。「角使いの名手」の藤井の本領発揮だった。

昼食休憩後は難解な中盤戦が続き、両者ともペースダウン。終盤にジリジリとリードを広げた藤井が、鮮やかに寄せ切った。

初手合から6連敗だった「天敵」から直近5局で4勝1敗。3つ目のタイトル奪取へ大きく前進した。羽生善治九段(50)が持つ最年少3冠(22歳3カ月)の更新に王手をかけた。