将棋の藤井聡太2冠(王位・棋聖=19)が豊島将之叡王(竜王=31)に挑む第6期叡王戦5番勝負の第3局は9日、名古屋市の老舗料亭「か茂免(かもめ)」で行われ、先手の藤井が豊島を121手で破り、シリーズの対戦成績を2勝1敗とし、初獲得にあと1勝とした。

第4局は22日、名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われる。藤井が勝てば、羽生善治九段(50)が93年に達成した最年少3冠(22歳3カ月)を大幅に更新し、史上初の「10代3冠」が誕生する。

1勝1敗のタイで迎えた一番。先手の藤井がエース戦法「角換わり」を採用した。両者とも入念な研究手だったため、序盤からハイペースで進む。藤井の65手目、プロ棋士も驚かす一手が指された。先手8四角。受けの一手だが、プロもあまり指さない新感覚の一手。「角使いの名手」の本領発揮だった。

第2局では終盤で逆転負けを喫したが、鋭い指し回しで3つ目のタイトル奪取に王手をかけた藤井は「盤上に集中して指せた」と振り返った。昼食の勝負メシは「名物ぽんきし 鱧寿司」を注文。スッポン仕立てのスープに身も入り、きしめんと絶妙のハーモニーの名物料理。終局後、「おそらくすっぽんは初めて食べた気がするんですけど、おいしくいただきました」。“スッポンパワー”で午後からの対局に挑んだ。

これまで将棋界で3冠を達成したのは羽生、豊島ら9人のみ。「10代3冠」は史上初だ。最年少3冠について「自分としては意識することではないのかなと思います」。偉業のかかる第4局も自然体で臨む。【松浦隆司】