将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太王位(棋聖=19)が豊島将之竜王(叡王=31)の挑戦を受ける、第62期王位戦7番勝負第3局が18、19の両日、大阪市の関西将棋会館で行われ、後手の藤井が豊島を140手で破り、シリーズの対戦成績を3勝1敗とし、王位初防衛にあと1勝とした。棋聖に続き、ダブル防衛に王手をかけた。第5局は24、25日に徳島市「渭水苑」で行われる。

藤井の2勝1敗で迎えた第4局。戦型は相掛かり。両者の直近5局はすべて角換わりだったが、王位戦第1局以来の相掛かりとなった。序盤から難しく、1手1手に深い読みが必要とされる激戦。序盤について藤井は「後手4四角と打ったんですが、その角が負担になってしまい、少し苦しい局面になった」と苦戦を振り返った。

1日目はほぼ互角で終了。2日目午後から本格的な戦いが始まった。7筋、9筋、6筋から総攻撃を仕掛け、勝機を見いだすと、一気にギアチェンジ。終盤、カウンターを狙った豊島に反撃の機会すら与えず、会心の指し回しで寄せ切った。それでも終盤について「明快な手が指せなくて本譜ではあまりうまくいっていないと思いながら進めてました」と反省した。公式戦の初対局から6連敗した“藤井キラー”の豊島との対戦成績を6勝8敗と押し戻した。

豊島に挑戦している叡王戦5番勝負では2勝1敗とリードし、22日に名古屋市で第4局が行われる。藤井が勝てば、羽生善治九段(50)が93年に達成した最年少3冠(22歳3カ月)を大幅に更新し、史上初の「10代3冠」が誕生する。竜王戦もあと1勝で豊島への挑戦権を獲得し、年内4冠も視野に入れている。王位初防衛に「また第5局が来週にすぐあるので、しっかりいい状態で臨めればと思います」。19歳の進化が止まらない。【松浦隆司】