東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対する判決(求刑禁錮7年)が2日午後、東京地裁で言い渡される。この日は、22枚の一般傍聴券をめぐり、563人が並んだ。倍率は25・6倍だった。

起訴状によると、飯塚被告は19年4月19日に都道を走行中、車線変更の際にブレーキと間違えてアクセルを踏み続け、時速60キロから896キロまで加速して交差点に進入。松永さん母子をはねて死亡させ、9人を負傷させたとされる。

被害者参加制度を使って裁判に参加した真菜さんの夫の松永拓也さん(35)は、結審した7月15日の公判後に会見を開いた。その中で、過失運転致死傷罪では最長となる禁錮7年の求刑にも「2人の命が亡くなり、9人が重軽傷を負った。心痛、無念を思えば7年は足りるものではない」と本音を吐露。その上で「どう考えても過失でないだろうという事故は、たくさんある。刑期を上げるというのは私は必要だと思う」と持論を語った。

その上で飯塚被告が裁判長から「最後、言いたいことは?」という質問に「自分の過失はない」と変わらず、無罪主張を続けたことについて「あの人は変わらない。だからこそ、罪と遺族の無念と向き合う時間が必要。それは刑務所に入ること」と訴えていた。