将棋の史上最年少3冠、藤井聡太王位(叡王・棋聖=19)が4冠獲得を目指して豊島将之竜王(31)に挑戦する、第34期竜王戦7番勝負第1局が9日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で行われた。8日午前9時からの2日制で始まった対局は9日、先手の藤井が勝ち、タイトル奪取に向けて好発進した。終盤までもつれる局面で最後に抜け出した。このまま勢いに乗って2連勝するか、豊島がタイに追いつくか。第2局は10月22、23日、京都市「仁和寺」で行われる。

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初日の封じ手(44手目)で、豊島さんはな0ぜ後手1三角としなかったのでしょう? 以下先手5六金後手3五角先手同歩後手2二銀で、かすかに後手が指せると思っていました。大半のプロ棋士も「豊島さんが指しやすい」と思っていたはずです。

彼の特徴は野性味あふれ、何をしてくるか分からない粗っぽい指し回し。ところが、最近はそれが鳴りをひそめ、競り合いで引いて負けている。今局のような将棋を物にしないと、勝てる将棋はないでしょう。

対して、65手目先手5八玉~75手目先手4七玉が、懐を広げた好形。堅守で豊島さんを攻めあぐねさせ、99手目先手4五歩と次の先手3五歩の勇気ある小技の連発で勝ちを確定させました。

開幕1勝は世間の期待を追い風にして、史上最年少4冠にかなり近づく白星になったと思いますよ。