れいわ新選組の山本太郎代表が8日に「野党統一候補」としての出馬を表明した衆院東京8区では9日、地元で6年間にわたり活動し、立憲民主党の同区総支部長として出馬予定の吉田晴美氏の支持者らから困惑や怒りの声が上がった。

吉田氏のツイッターは8日以降更新されていない。吉田氏に近い関係者によると、吉田氏は地元有権者の気持ちをまず第一に大切にしたい意向だというが、8日以降は遊説に出ておらず、沈黙が続いている。

地元で吉田氏を支援してきた支持者は「まったく聞いていない。(山本氏の)わがままだ」と話した。別の支持者は「吉田さんは6年間の活動を通じて、地元とのつながりを築いてきた。上から突然ねじ込まれるような形では(投票用紙に)『山本』とは書けない」と怒りを抑えきれない様子だ。

地元では8日から支持者らが独自に、吉田氏を応援する運動が始まっている。支持者の一部が8日、党側に対し、野党統一候補は地元に根を張った活動をしてきた候補にすべきとして、意見書を提出。駅前などでは「#吉田はるみだと思ってた」とのプラカードが掲げられSNSでも「♯吉田はるみしか勝たん」「♯吉田はるみを応援します」などのハッシュタグが拡散した。10日午後にも、杉並区内の駅前で支援者が集まり、応援運動を行う予定だ。

立民の枝野幸男代表は9日、山本氏の出馬表明について「困惑している」と話した。一方の山本氏は同日、支持者を集めた総決起集会で東京8区の調整について「困惑している」と、枝野氏の「困惑」に「困惑」で返してみせた。「今のところ東京8区だが、変化が起こるかもしれない」と変更の可能性にも言及したが公示は19日に迫っている。山本氏は野党共闘の象徴的な人物の1人。その山本氏の出馬をめぐる調整でボタンを掛け違えれば、全国の野党共闘にも波紋が広がる可能性がある。【沢田直人】