岸田文雄首相は14日、衆院を解散し、衆院総選挙へ向けた事実上の選挙戦に突入した。同日夕方の臨時閣議で「19日公示、31日投開票」の日程を正式に決定した。

岸田首相の誕生から10日での衆院解散と、解散から投開票まで17日間といずれも戦後最速の「短期決戦」となる。岸田首相は記者会見で「未来選択選挙」と命名し、与党で過半数獲得を勝敗ラインに掲げた。

   ◇   ◇   ◇

コロナ禍で初めての衆院総選挙が事実上のスタートを切った。岸田首相は午後の衆院本会議で衆院を解散し、午後7時すぎからの記者会見では、衆院総選挙を「未来選択選挙」とネーミングし、「国民のみなさんの信任をいただければ、数十兆円規模の総合的かつ大胆な経済対策を最優先でお届けします」と宣言した。

異例ずくめの短期決戦を打ち出した。4日の首相就任時に、わずか10日目の電撃解散を発表した。解散から投開票までも、わずか17日間。これまでの最短は55年、当時の鳩山一郎首相が就任から45日後に解散した記録を大幅に更新した。

就任した時期から次期衆院選の投開票は11月が有力視されていたが、コロナ禍で衆院が21日に任期満了を迎えることを踏まえ、「空白をできるだけ小さくしたい」と、これまで通りの説明を行った。

最大の争点となる新型コロナウイルス対策や経済政策について「私が提示してきた政策に一点のブレも、そして後退もありません」と断言した。加えて安倍晋三元首相から菅義偉前首相まで約9年間継承された自民1強の総括も問われる。

前回17年は、安倍晋三元首相が率いた自民党は281議席を獲得して圧勝した。連立する公明党と合わせ、定数の3分の2を確保した。立憲民主党、共産党などは自公の対抗軸となるべく、野党共闘を展開して、自民支配の継続に徹底抗戦の構えだ。

岸田首相は勝敗ラインについて「与党で過半数を確保する。これが勝敗ライン」と強い口調で語った。与党は相次ぐ不祥事で逆風の最中にある。19年の参院選の買収事件で実刑判決を受けた河井克行元法相をはじめ、政治とカネの問題で逮捕、起訴される議員が続出した。菅政権でのコロナ対策の不手際も国民の怒りを招いた。17日間の選挙戦で国民の審判が下される。【大上悟】