英王室のウィリアム王子(39)が、民間の宇宙開発企業による宇宙旅行に参加する大富豪たちを「地球を離れるのではなく、地球を救うことに集中すべき」と批判した。英BBCのポッドキャスト「ニュースキャスト」のインタビューに応じたウィリアム王子は、「世界の大富豪たちは地球環境の問題を解決するためではなく、自分たちの富を宇宙開発競争と宇宙旅行に費やしている」とコメント。熾烈(しれつ)な宇宙開発競争を繰り広げているブルー・オリジンで宇宙旅行を成功させたアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏やヴァージン・ギャラクティックによる宇宙船の試験飛行を成功させたリチャード・ブランソン氏、スペースXを率いるイーロン・マスク氏らを痛烈に批判した。

ウイリアム王子がインタビューに応じた前日には、米ドラマ「スター・トレック」シリーズでカーク船長演じた俳優ウィリアム・シャトナーが史上最年長となる90歳でブルー・オリジンに搭乗して宇宙旅行を成功させている。宇宙旅行に興味があるか問われた王子は、「そんな高度に行くことにはまったく興味がない」と返答。英空軍でヘリコプターのパイロットとしての任務で高度6万5000フィートまで上昇したことが1度あるが、それは本当に恐ろしいことだったと語り、宇宙開発よりも環境問題の改善に取り組むべきだと持論を展開した。

ウィリアム王子は昨年10月、王室財団とともに地球環境問題に取り組むための環境賞「アースショット賞」を設立するなど、気候変動問題に熱心に取り組んでいることで知られる。「有能な頭脳と精神の持ち主は次のすみかとなる場所を見つけに行くのではなく、この星を修復する試みを努力をすべき」と語り、宇宙開発に費やされる莫大(ばくだい)な費用や人材を地球環境のために使って欲しいとの願望を明かした。(ロサンゼルス=千歳香奈子)