今回の衆院選では野党共闘が進み、事実上の与野党一騎打ちの構図が289ある小選挙区の半数に上る。宮城5区は、自民党が元タレント森下千里氏(40)を擁立。名古屋市出身の落下傘候補だが、出馬表明後から「辻立ちクイーン」を自称して1600回超の街頭演説を行い浸透を図る。立憲民主党は国対委員長として存在感を増す安住淳氏(59)。地元石巻市出身で、96年の初当選から8連続当選中と強固な地盤を誇るが、党幹部として全国応援に引っ張りだこだ。鬼の居ぬ間に-新人候補の猛追となるのか。

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安住氏には、牡鹿町(現石巻市)出身として、地元被災地に丁寧に向き合ってきた自負もある。今回の演説中も、東日本大震災後のがれきや車の撤去作業などの苦労や、復興への歴史を振り返りながら「申し訳ないが、そんなことも知らない人に、この地区を託せるわけがないでしょう」と声を強める場面もあった。

政権交代が出来れば、さらに還元出来る思いもある。「今回の選挙で、野党が一本化につながらなかったら政治家を辞めようかなという気持ちを持っていました。ようやく、1対1で皆さんに選んでもらえる土俵が出来た」と明かし、212選挙区での与野党一騎打ちの構図に手応えも得ている。前回17年は無所属だったが、今回は立憲民主党国対委員長として、全国を応援に巡る。関係者によると「今回は3日間くらいしか地元で演説出来ない予定。そのぶん結束もある」。“9連覇”の牙城に揺るぎはない。