徳島1区は、自民前職の後藤田正純氏(52)と無所属元職で医師の仁木博文氏(55)が激しい戦いを繰り広げている。8期連続当選を狙う後藤田氏は選挙戦を支援する自民党徳島県連との“身内バトル”が過熱し、苦戦している。

JR徳島駅前で26日にマイクを握った後藤田氏は「わが徳島が政権与党のど真ん中とつながるのか、それとも共産党が応援する野党とつながるのか。この選択です」と訴えた。続けて「徳島の県政も市政もぐちゃぐちゃだ」と批判し、「県民、市民不在の県政と市政を刷新、正常化させたい」と語気を強めた。最後は「まさに抵抗勢力の抵抗にあい、厳しい戦いをしている」と力を込めた。

“身内バトル”のきっかけは19年4月の徳島知事選にさかのぼる。県連が5選を目指す飯泉嘉門知事を推薦したのに対し、後藤田氏は多選を批判し、対立候補を支援した。20年の徳島市長選でも対立した。両者の溝は深まり、衆院選前には県連が自民党本部に後藤田氏を公認しないように申請。党本部は公認したが、県連は「自主投票」を決定した。

「カミソリ後藤田」と言われた元副総理の後藤田正晴氏を大叔父に持ち、妻はかつて「お嫁さんにしたいナンバーワン」といわれた女優水野真紀(51)だ。これまでの選挙では水野は夫とともに街頭に立つこともあったが、今回は「街頭に立つ予定はない」と後藤田陣営。支援者の男性は「奥さんは女性票を持っているのに…」と残念がった。

自民の内紛のスキをつき、勝機をうかがう仁木氏は後藤田氏との7度目の対決となる。小選挙区での勝利はないが「地元徳島、日本をよくしたい信念は、負けても負けてもぶれることはない」。街頭では党派を超えた支持を訴え、「反後藤田」の票の取り込みも狙う。日本維新の会の新人、吉田知代氏(46)は「徳島でも維新の改革を訴えていきたい」。27日、各候補は徳島市内などで必死の訴えを続けた。【松浦隆司】