宮城5区から出馬した自民党の元タレント森下千里氏(40)は、立憲民主党国対委員長の安住淳氏(59)に小選挙区で敗れた。自称「辻立ちクイーン」として1600回を超える街頭演説を積み重ねて浸透し、善戦したが、最後は及ばなかった。

元グラビアアイドル。知名度はあるが、宮城県との縁は東日本大震災後に炊きだしなどの支援活動程度だった。名古屋市出身の落下傘だからこそ、1人でも多くの人と接点を持ち、生の声を聞くことを重視。19年限りで芸能事務所との契約を解除し、今年4月には石巻に移住した。愛知県から5月に駆けつけ同居している母の弁当を持ち、イメージカラーのピンクを基調とした服装にスニーカー姿で選挙区を回った。11月1日が母親の誕生日のため、吉報をプレゼントにする願いも原動力だった

遊説だけでなく、地域の現状を把握しようと、農家で田植え体験、旅館関係者と意見交換、名産のカキ工場訪問など、幅広い活動も意識した。一方、相手は9選を狙った野党の“顔”の1人だけに自民党の期待も大きく、岸田文雄首相、高市早苗政調会長、三原じゅん子参院議員、牧島かれんデジタル相らが応援に入るなど、強い後押しも受けた。19日の公示日には「つらい体験をしている方は本当に優しい方が多い。見ず知らずの私にも『頑張ってね』と声をかけてくださいました。これからお返ししたい」と訴えていた。コツコツと地道な活動を強く印象付ける選挙戦だった。