7月の東京都議選期間中に無免許運転で人身事故を起こし、東京地検から道交法違反罪で在宅起訴された都議会議員の木下富美子氏が22日、都庁で記者会見し「辞職することを決断致しました」と表明した。午後8時、東京都議会議長に辞表を提出し、許可された。

木下氏は無免許運転について「議員であろうとなかろうと、許されることでありません。交通法規に対する順法精神が弛緩(しかん)していたこと、猛省しています」と話した。免許については「再取得はせず、自ら運転を致しません」とし「事故当時に運転していた車は既に処分しております」。その上で「有権者のみなさまに心よりおわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。

小池百合子都知事には、この日午後に知事室に呼ばれて面会し、辞意を伝えたという。「体調が回復に至ったばかりで時間を取っていただき、叱責(しっせき)も含めお怒りもいただいたが、親身に考えてくださった」などとした。木下氏によると、小池氏から10月半ばに電話があり、「大丈夫?」などの声をかけられたという。当時は、議員を続ける意向を小池氏に伝えていたという。

木下氏によると、その後も、進退について小池氏に相談していたという。しかし、9日の委員会の「委員会開会拒否」で「仕事をさせてもらえない現実が明らかになりました」と語り、「議員として十分に仕事をさせてもらえない理不尽な現実に悩みました」と明かした。木下氏は続けて「このような中で小池都知事とお話をする機会を得た」として、「『ここはいったん引いて今回の交通事故の解決に専念されたらどうか』とのご助言を頂き、またこれで人生が終わるわけではなく、不祥事を反省し、再出発の時には相談に乗るという話も頂いた」と明かした。

木下氏の説明によれば、今月9日以降に、小池氏から「再出発の時には相談に乗る」という話があったもよう。

木下氏が出席しようとした11月9日の都議会の委員会で、他の委員が異議を唱えて退席し流会となったことについては同席した代理人弁護士も「木下を議会に呼んでおき、出席したらボイコットするのは、仕事をサボっているのはどちらも同じ。学校や職場で見られるイジメの構造と同じ」と批判した。

今年の都議選で木下氏を応援していた小池氏は、会見が始まった午後6時過ぎ、報道陣には無言で退庁した。【沢田直人】