衣料品通販大手ZOZOの創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(46)が8日、ロシアの宇宙船ソユーズで宇宙に向かい、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する初の日本人の民間人となったことについて、ロシアの複数メディアは同国が宇宙旅行産業を取り戻す1歩だと報じた。

国営ロシアテレビは「ISSには12年間、宇宙旅行者は存在しなかった」と報じた。宇宙開発を手掛ける国営企業ロスコスモスと、前澤氏に約7年前にオファーした米国の宇宙旅行会社スペースアドンチャーズは提携し、01年から09年まで民間人7人の宇宙旅行を手掛けた。ただ、米国が11年にスペースシャトル計画を終了し、ISSへの移動手段がソユーズのみとなったため、米航空宇宙局(NASA)がソユーズの座席を購入するようになり、民間人がISSへ宇宙旅行する余裕がなくなった。

その後、米国の宇宙ベンチャー企業「スペースX」の宇宙船クルードラゴンが、20年に民間初の宇宙飛行に成功。野口聡一宇宙飛行士も同年、クルードラゴンでISSに向い長期滞在するなど、米国が宇宙への移動手段を持った。

民間による宇宙事業で存在感を示す米国に対抗するように、ロシアは10月にソユーズでISSに映画監督と女優を送り込み、宇宙で初の映画撮影を成功させ、前澤氏と関連会社役員の平野陽三氏(36)の宇宙飛行実現につなげた。英字メデイア「ザ・モスクワ・タイムズ」は、ロスコスモスが宇宙旅行事業のためのソユーズ2機を確保しており、ドミトリー・ロゴージンCEOが「米国に譲るつもりはない。戦う準備は出来ている」と語ったと報じた。

またロシアの国内メディアは「ISSに2人の観光客を同時に送り込んだのは史上初」と併せて報じた。操縦士のアレクサンダー・ミシュルキン宇宙飛行士(44)は13、17年に続く3度目の宇宙飛行で長期滞在も経験しているが、10月の会見で「2人はよく訓練してくれる。うれしいが、2人でこなさなければいけないことを1人でこなすのが今回の特徴」と口にした。民間人の宇宙飛行は、操縦士がマンツーマンでつくのが通常で、同氏も「同乗者と自分を頼みに出来るか」と悲壮な覚悟を口にした。

宇宙旅行産業における復権と、困難なミッションをクリアしたという観点から、前澤氏の宇宙飛行はロシア国内でも大きな反響を呼んでいる。【村上幸将】