日大(東京都千代田区)は10日、所得税法違反容疑で前理事長の田中英寿容疑者(75)が逮捕されたことなどを受け、理事長を兼務する加藤直人学長(70)らが同大で記者会見を行った。東京地検特捜部が背任事件で9月に強制捜査してから、日大が公の場で説明するのは初めて。

加藤氏は冒頭で、3つの事項を誓った。(1)田中前理事長との永久の決別、および役員報酬、賞与、退職金等を支給しない(2)日大事業部を精査のうえ清算(3)外部委員による日大の再生会議の設置

加藤氏は「日大を代表するものとして心よりおわびいたします」と約10秒頭を下げて謝罪。「日大130年の歴史の中で、理事長が逮捕されたことは初めて。伝統のある日大を汚されたことに対して恥ずかしく、憤りを持っております」と述べた。

日大は今月1日の臨時理事会で田中容疑者の理事長職辞任を了承し、3日の理事会で理事を解任。6日付で2つの背任事件の被害届を東京地検に提出した。

特捜部は11月29日、日大の取引業者からのリベートなど2018年と20年分の所得計約1億2千万円を隠し、計約5300万円の所得税を免れた疑いで田中容疑者を逮捕。10、11月には医学部付属板橋病院の設計監理業務と医療機器などの納入に関し、日大に約4億2千万円の損害を与えたとする背任罪で元理事の井ノ口忠男被告(64)を逮捕、起訴した。