東京都の小池百合子知事は24日の定例会見で、都内で初となる新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の市中感染者1人が確認されたことを公表した。都によると東日本で初の市中感染者は都内のクリニックに勤務している男性医師で、直近の海外への渡航歴がなく感染経路は不明。現在は都内の病院に入院中という。勤務先の職員や家族ら、計5人が濃厚接触者とされたが、いずれも無症状でPCR検査の結果は陰性だった。

小池氏は会見で「きょう、新たにオミクロン株の感染者が4名判明した。そのうちの1人が海外渡航歴がない、感染経路が不明、いわゆる市中感染とみられる」と明らかにした。小池氏は「診察中はマスクとフェースガードを着用されるなど適切に感染防止をしていた。接触時間なども考慮されるなど受診者の方は濃厚接触者には該当しない」としたが、都は男性医師が勤務するクリニックの職員と受診者の計約100人に検査を要請するとしている。

オミクロン株の市中感染は22日、大阪府で初めて確認され、23日は大阪府と京都府でも新たに判明した。この日、京都府で新たに計3人の市中感染が報告される中、首都圏にも拡大した。空港検疫などの水際対策を、すり抜けた可能性も指摘される。年末年始にかけて帰省や旅行などで都市部から地方などへの人流増加が避けられない。既存のデルタ株などよりも感染力が強いとされるオミクロン株の全国的な感染拡大が懸念される。

小池氏は年内最後の会見となったクリスマスイブの市中感染判明に「現実として受け止めるしかない」。都では年末年始に約1200の医療機関を確保し、25日から希望者を対象に新型コロナの無料検査を実施し、180カ所で、1日3万件の検査が可能な体制を整備するとした。小池氏は1グループ8人までの入店人数の制限を求めている飲食店に対し、新たな規制を求めることには否定的な見解を示した。正念場の年の瀬を迎える。【大上悟】