日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に12日間滞在した、衣類通販大手ZOZOの創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(46)が7日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。21年12月20日に地球に帰還し、同23日午後に帰国後、新型コロナウイルス感染症の水際対策措置として行われている、自主隔離を行っており、隔離明けの“仕事始め”となった。

前澤氏は、米宇宙ベンチャー「スペースX」と契約し、民間人初の月周回飛行を計画するプロジェクト「dearMoon」を23年に予定している。今回のISSへの渡航は、そこに向けて経験値を高める狙いもあった。会見で経験を「dearMoon」に、どうつなぎたいかと聞かれると「1点、これだけはスペースX社と相談、検討したいのが『クルークォーター』というクルー用の寝室」と語った。

前澤氏は、自身のYouTubeチャンネルで、無重力空間では寝る際に体を接地する場所がなく、睡眠を取るのが課題だと紹介しており、この日の会見でも「寝づらいんですけど…常に浮いた状態で寝ないといけない。体を接地する場所がない。地上だと考えないと思うんですけど、どこかに皆さん、体を接地しますよね。無重力下に行って、寝るのが大変だと思った」と語った。

前澤氏は、今回、ISSで寝る際に使っていたクルークォーターについて「カプセルホテルをイメージ頂くと、分かりやすい。かなり狭く作られた個室」と説明した。その上でスペースX社に対し当初「スターシップというロケットは、ものすごい大きいので、クルークォーターについて、せっかくだから、ゆったりした部屋を各クルーに与えて、優雅な旅にしましょう」と提案していたことを明らかにした。

その上で「これは、即刻、取りやめたいと思いますね」と断言した。その理由として「なぜなら、空間が大きければ大きいほど不安定…常に体が浮いてしまうので。なるべく狭くして人が1人、入れるか入れないかくらいの部屋の中で、どこかしらの壁に柱がある状態を作ってあげた方が安眠につながる。即刻、スペースX社に伝えたい」と語った。

「dearMoon」に参加を希望するクルーについては全世界から公募し、応募が100万人あったという。その中から「選考段階は最終に来ています。8人、選ばせていただきます。追加で選んで10~12人。既に選ばれている方は、さまざまな顔触れがある。宇宙の経験はないですが、自身の経験をアップデートされようという強い思いがある方が残られている。今年中に最終メンバーを発表できる機会があると思う」と説明した。

「dearMoon」の旅程については「地上から3日間、かけて月に行きます。着陸することなく裏側をグルッと回って同じく3日間かけて戻ってくる計6~7日の旅になる」と説明。訓練を含めた今後のスケジュールについては「どこかに乗り移ることもないし、ずっと宇宙船内に滞在することになるので、訓練もさほど時間はかからないだろうと…1、2カ月じゃないかというのが、今の見立て。6日間、同じ船内に乗るので(訓練期間で)チームビルディング、信頼関係を作る時間に充てたい。23年に迫っているので、そんなに時間はないかなというイメージです」と語った。