東京都は20日、新型コロナウイルスの感染者が新たに8638人報告されたと発表した。2日連続で過去最多を更新した。この日、都では専門家らを交えた新型コロナウイルスに関するモニタリング会議を開き、都の感染拡大が現在の増加ペースで続いた場合は、新規感染者が来週27日に1万8000人を超える推計を示した。

国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長によると、新規感染者の7日間平均は19日時点で、約4555人。前週の約1136人から約4倍となっており、増加比が高水準で推移している。大曲氏は「第5波の立ち上がりをはるかに上回るスピードで増加している。社会活動の停止を余儀なくされる可能性がある」と危機感を示した。感染状況の警戒レベルを最も深刻な「赤」に引き上げ「大規模な感染拡大が継続している」とした。

医療提供体制については東京都医師会の猪口正孝副会長が「救急医療に相当な影響が出ている。一般病床はかなり逼迫(ひっぱく)している」と懸念した。警戒レベルは上から2番目の「オレンジ」で「通常の医療を制限し、体制強化が必要な状況である」とした。猪口氏は「高齢者の入院患者の割合が増加し、重症患者数の動向を注視する必要がある」と指摘。その上で「冬は脳卒中や心筋梗塞、転倒による骨折などの患者さんがものすごく増える。新型コロナの感染者が増えると一般医療を含めてかなり大変な状況。両立させるのに、ぎりぎりなところでやっている」と説明した。

小池百合子知事は会議後の取材で「オミクロン株は皆さんのすぐ隣に迫っている。『自分が感染しているかも、大切な人を感染させてしまうかも』という意識を持って行動していただきたい」と呼び掛けた。21日から適用するまん延防止等重点措置については「首都圏全体で危機感を共有し、連携していく」と話した。【沢田直人】