駄菓子メーカー「やおきん」(本社・東京都墨田区)が、大ヒット駄菓子シリーズ「うまい棒」の価格を現行の税抜10円から、4月出荷分以降は同12円に値上げすることを24日、同社の関係者が明らかにした。

原材料となる米国産トウモロコシや植物性油脂の価格高騰が原因とみられる。値上げは1979年の販売以来、初めてとなる。

うまい棒はサクッとした食感とさまざまな食べ物の風味を楽しめるスナック菓子として79年に「ソース」「サラミ」「カレー」の3種の味からスタートした。翌80年にさらに「チーズ」「バーガー」「やさいサラダ」3種が加わり、10円駄菓子の代表格として人気を得た。

バブル期の80年代後半~90年代初頭にかけて「ロブスター」「テリヤキビーフ」「オムライス」「カニチャンコ」などの新種を立て続けに販売した。現在では絶品となった味も多いが、92年に「コーンポタージュ」、94年に「とんかつソース」「テリヤキバーガー」などのロングセラーも登場した。

時代の荒波にもまれながら駄菓子界の人気商品となり、これまでも原材料の高騰も何度かあったが、価格には手を付けずに内容量を減らしてしのいだこともあった。

17年6月には、熊本地震(16年4月14日発生、最大震度7)の支援商品として、熊本県産「万次郎かぼちゃ」を使用したかぼちゃコーンポタージュ味「くまモンうまい棒」を販売した。価格が10円であることから「10援プロジェクト」として売り上げの一部が熊本県に寄付された。

販売当初から残っている「サラミ」をはじめ19年4月に販売40周年記念として東京限定で販売されている「シナモンアップル」など重量6グラム(「とんかつソース」のみ5グラム)の計17種と、重量9グラムのプレミアムシリーズ「モッツアレラチーズ&カマンベールチーズ」「明太子」「和風ステーキ」の3種が商品ラインアップとして現存している。ほかにパッケージが変わるクリスマス、バレンタイン、ハロウィーンの季節商品も販売されている。

「やおきん」は元々愛知県で生鮮野菜を販売していた「八百金」が上京して「八百金食品」として1960年に駄菓子仲卸として起業。漢字の社名では駄菓子を購入する子どもに読めないこともあることから、81年に現在のひらがな「やおきん」に社名変更した。

同社はうまい棒のシルエットから11月11日を「うまい棒の日」に制定し、2020年からうまい棒に関連した川柳を募集している。20年の第1回は2万7158句、第2回は4万711句が寄せられた。昨年は「10円で 終電までの 充電だ」と価格をテーマに韻を踏んだ作品が優秀賞に入っていた。

やおきん広報担当はうまい棒の値上げに関しては、24日午前現在で「話すことはありません」とコメントはしていない。