米電気自動車メーカー大手テスラの最高経営責任者(CEO)で宇宙開発企業スペースXの共同創設者でもあるイーロン・マスク氏(50)が、自身が所有するプライベートジェット機の離発着情報をツイートするアカウントを運営する19歳の少年に5000ドルの支払いをする代わりにつぶやきをやめるよう求めたと報じられた。オンラインニュースサイトのプロトコルが最初に報じたもので、マスク氏は昨秋に「セキュリティー上の理由」からアカウントの停止を求めるDMを送ったという。

 

報道によると、少年は米連邦航空局(FAA)が公開している離着陸情報と航空機に搭載されている放送型自動従属監視(ADS-B)のデータを独自に分析して離着陸時間と目的地を割り出し、その情報を随時公開しており、他にもマイクロソフトの共同創設者ビル・ゲイツ氏やアマゾンのジェフ・ベゾスCEOら15人の追跡アカウントも運営しているという。「狂ったやつに撃たれるは嫌だ」とメッセージを送ったマスク氏は、やり取りの中で少年がアカウント運営で得ている収入が月20ドルに満たないことを知り、5000ドルの支払いを提案。しかし、これに対して少年は「学費が払えるし、もしかしたら(テスラの)モデル3を手に入れられるかもしれない」と提示金額の10倍となる5万ドルを要求したという。その後マスク氏から「検討する」と連絡があって以降、連絡は途絶えたと伝えている。

 

マスク氏は今月上旬、自身の航空機移動を追跡するSNSアカウントがセキュリティー上の問題になっていると安全面を懸念するツイートをしていた。マスク氏の飛行情報に関するアカウントは、1番人気で約8万3000人のフォロワーがいるという。データ解析には高度な専門知識を必要とするが、少年の父親が航空業界で働いていたこともあり幼い頃から航空追跡アプリの情報を解析する遊びをしていたと伝えられている。少年は先週、「5000ドルの代わりにインターンとして働かせて欲しい」とマスク氏にメッセージを送ったが、今のところハワイで休暇中の同氏はメッセージを読んでいないとコメントしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)