将棋の史上最年少4冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が渡辺明王将(名人・棋王=37)に連勝した、第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局(栃木県大田原市「ホテル花月」)は29日午後6時、手番の後手渡辺が封じ、初日を終えた。

栃木県は初めてという藤井に対し、ファンのフィーバーぶりもすごかった。藤井が「技」、渡辺が「芸」と揮毫(きごう)した王将戦の記念扇子が対局開始と同じ午前9時に、対局場と那珂川を挟んで対岸にある大田原市観光協会で販売された。用意された80本は、わずか30分で完売。最低気温マイナス4度という中で、一番乗りは朝4時30分から並んでいたという。寒さとコロナ対策のため、観光協会では約50人並んでいた朝7時30分ごろ、急きょ整理券を配って対応した。

大田原対局は17回目。同市観光協会によると、「これだけあっという間に売れたのは初めて。藤井フィーバーは、私たちの予想を超えている」と驚いていた。

第1局と同じ相掛かりとなった今局。最後の最後までもつれ合った開幕局と違い、午後4時すぎには早くも戦端を開いた。30日午前9時から、対局は再開される。午前中からの長考合戦、激しい攻め合いが予想される。

28日の前夜祭で藤井は、「大田原ゆかりの武将、那須与一が扇の的を射るような集中力で戦いたい」と話していた。その言葉どおり、盤面に集中してファンの予想を超える妙手で勝利をつかめるか。3連勝となれば、初の王将奪取と史上最年少5冠まであと1勝となる。