新型コロナウイルスの「オミクロン株」による感染急拡大が止まらない。東京都の新規感染者数は2日、2万1576人と過去最多を更新し、初の2万人超となり、2回のワクチン接種済みの新規感染者は1万114人に上った。これで1月25日から1日の新規感染者は9日連続で1万人以上となり、病床使用率は51・4%で、都が緊急事態宣言の要請を検討する基準とした50%を上回っている。都独自の基準による重症者病床の使用率は5・5%で前日1日から横ばいだった。

岸田文雄首相は、この日の衆院予算委員会の質疑で立憲民主党の長妻昭氏から「従来であれば、すでに(緊急事態宣言を)出している局面。なぜ今回は検討すらしないのか」と問われたが、「今の時点では、緊急事態宣言について検討していない」と否定した。

同予算委員会で岸田首相は、自衛隊が東京で運営するワクチンの大規模接種会場での接種人数を現在の1日当たり720人から、来週をめどに1日当たり5000人程度まで拡大することを表明した。これまで新型コロナの濃厚接触者の待機期間を14日間から10日間、さらに7日間まで短縮するなど方針転換した。一方でコロナ対策と社会経済活動の両立を掲げる岸田首相は「まん延防止等重点措置の効果をしっかり確認した上で」と、宣言発令の回避に固執する。

政府は、まん延防止等重点措置を和歌山県にも追加適用(5日~27日)する方針を固め、地域は35都道府県に拡大する。日本医師会の中川俊男会長は2日、緊急事態宣言発令について、「期を逃さず、発令することが大事。一両日中に状況が急変することも十分にある」などと警鐘を鳴らした。悪化する状況に、どう歯止めをかけるのか。政府の対応が問われている。【大上悟】