岸田文雄首相は7日午前の衆院予算委員会で、立憲民主党の菅直人元首相や小泉純一郎氏ら5人の首相経験者が東京電力福島第1原発事故で「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しんでいる」と欧州連合(EU)欧州委員会に書簡を送ったことについて反論した。

自民党の谷公一氏から「科学的治験に基づかない風評を軽率に文章にして外国に送ることは許し難い」などと問われ、「福島県が実施している検査により、見つかった甲状腺がんについては国内外の公的な専門家会議により現時点では放射線の影響等は考えにくいという趣旨の評価がなされている」とした。その上で「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみという記述はいわれのない差別や偏見を助長することが懸念される。適切ではない」と述べた。

福島県の内堀雅雄知事は、がんと被ばくの関連が認められないとして「科学的な治験に基づき、客観的な発信を」と5氏に対して文書で要請している。立憲民主党の泉健太代表は4日の会見で菅氏の発言について「元首相という枠組みの中での行動、ご自身の判断で行われているものだと理解している。党としての活動ではない」とした。