ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、ウクライナ出身で現在はロシア在住の「美しすぎる検事総長」と称されたナタリア・ポクロンスカヤさん(41)が25日までに、自身のインスタグラムで両国への複雑な思いを発信した。「私はロシア連邦の市民であり、ウクライナ国籍。自分のルーツと、それについて自由かつ安全に話すことが出来る国を誇りに思っています」。旧ソ連のヴォロシーロフグラード州(現ウクライナ・ルハーンシク州)に生まれ、02年にはウクライナのクリミア自治共和国高等検察庁に入庁した。検事総長就任時の記者会見は全世界に配信されたことから。日本でも「美しすぎる検事」と注目。16年には検事を辞任し、統一ロシア入党で政治家に転身した。現在はカーボベルデ駐在ロシア大使を務めている。

「私はロシア人とウクライナ人に訴えます」。両国民の関係性を「私たちは親戚」と強調し、独自性を持って互いを高め合える魅力があるとした。「人はやめることは出来ます。武器を持ってはいけない。ロシアのすべての人々は、ウクライナの平和と回復を望んでいます」。政府同士が“戦争犯罪者”であり、国民同士は友好的であることをつづった。

ロシアの歌手ヴァレリー・メラジェ(56)も「けっして起きてはならないことが起きた。歴史がいつか、すべてを裁くだろう。今は(ロシアが)軍事行動をやめて、交渉の場に座るよう願いたい」。ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領がしっかりと向き合い、これ以上の惨劇が続かないことを求めた。

ウクライナ国内では、悲痛な声が多発した。東京五輪の空手組手女子55キロ級銀メダリストのアンジェリカ・デリューガ(29)は、五輪時の胴着姿での美貌とともに、6つの動画を自身のインスタグラムに投稿。居住する同国南部オデッサ州での、ロシア軍によるヘリコプターでの攻撃や、爆撃の瞬間、黒煙が上がる街、崩壊した建物などの惨状は、恐怖そのものだった。「朝5時に爆発音で目が覚めたことは怖かった。ロシア軍は戦車と軍隊でやってきて、ヘリコプターなどからのミサイルで爆撃を受けたことが全世界に知れ渡ったと思います。怖い、こんなに怖くなるとは信じられない。私の愛する都市で爆発が続きます。ウクライナ領土全体が侵略者と戦っています」。寄せられる「大丈夫ですか?」「どうしたら助けられる?」などメッセージにも「もちろん、違う。大丈夫なわけがない。あなたの国で真実を示してください。戦争をやめるように頼んでほしい。正義を願っています。神はウクライナを助けてください」と緊迫感が伝わる言葉が並んだ。

元新体操世界女王で04年アテネと08年北京で個人総合銅メダルのアンナ・ベッソノバさん(37)も、男性とウクライナ国旗をイメージするような青と黄色のシャツを着て海辺で寄り添う写真とともにインスタグラムに投稿した。「親愛なるウクライナ、私たちはあなたと一緒にいます」。大切な人と大切な時間を過ごせる平和を願った。女優オルガ・キュリレンコ(42)もインスタグラムに「ウクライナとその人々の安全のために祈る」と投稿した。