ロシアのウクライナへの軍事侵攻が開始されてから24日で1カ月が経過した。日本ではウクライナのゼレンスキー大統領(44)が国会でオンライン演説をして一夜が明けた。この演説は、3月1日のEU議会から始まり、欧米7カ国でも実施した。印象戦略コンサルタントの乳原佳代氏は「言葉を国ごとに選ぶ繊細さは服装にも表れている」と分析した。

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ゼレンスキー大統領の服装はカーキ色のTシャツが多いですが、各国への演説の際には、少しずつ違うものを着たり、着こなしを意識的に変化をつけているように見受けられます。

23日の日本では、なじみのあるTシャツではなく、つめ襟のような首まで隠れるジッパー式の長袖ジャケットでした。清潔感のうかがえる服装を好む日本人への配慮と思えました。

3月1日のEU議会ではカーキー色のTシャツで、ウクライナ軍のエンブレムは入っていませんでした。8日の英国でも同様のTシャツ姿。ところが15日のカナダではカーキー色のジッパーフリースを着込んでいました。ウインタースポーツで強豪国でもありスキーをしそうな服装でカナダ国民への親和性を伝えたかったのかもしれません。

16日の米国ではカーキー色のTシャツでしたが、胸の部分にはウクライナ軍のエンブレムが施してありました。強さを求める米国と協調したいという気持ちからのように感じました。17日のドイツではカーキー色の長袖のボタンダウンシャツ、インナーの黒のシャツでドイツの国旗の基調色を配したものと思われます。

20日のイスラエルは米国と同じで、22日のイタリアではドイツと同じ服装ながら、長袖は腕まくりをして陽気なイタリア人風な着こなしを工夫したのではないでしょうか。時差で日本と同じ23日の実施となったフランスでは米国と同じでした。

まとめてみると、第2次世界大戦の連合国側(米、カナダ、仏、英)とイスラエルではTシャツ、枢軸国側(イタリア、ドイツ、日本)では襟付きの長袖シャツを着用していたことは、意識的に服装を変えていたかもしれませんね。

それと日本での演説は約12分。インターネットの動画などでギリギリ最後まで飽きずに見てもらえそうな“尺”のような気もします。15分では長いけど12分なら耐えられるという絶妙な長さのような気もします。今年は日本で参院選などもありますが12分演説は今後の街頭演説のスタンダードになる可能性もありますね。【取材・構成=寺沢卓】