ロシア軍の攻撃を受けたウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の都市ブチャで多数の民間人の遺体が見つかったことを受け、ロシア軍の活動を監視する市民団体インフォルムナパルムが、集団虐殺を犯した疑いのある部隊を率いる指揮官の氏名や電話番号、メールアドレス、自宅住所などを特定し、SNSで公開していることが分かった。

ニューズウイーク誌などによると、同団体はブチャを占領して民間人を殺害した「虐殺者」は40歳前後とみられるロシア軍の第64独立自動車化狙撃旅団を率いるアザトベック・オムルべコフ中佐だと主張しているという。

ウクライナ国務省は4日、第64独立自動車化狙撃旅団がブチャでの戦争犯罪に直接関与したとした上で、所属兵1600人以上の名簿をホームページで公開している。リストには氏名のほか、階級や生年月日、パスポート番号も掲載されている。

ロシアによるウクライナ侵攻を巡っては、ロシアに対してさまざまなサイバー攻撃を行っている国際ハッカー集団アノニマスも侵攻に関与するロシア兵約12万人の個人情報を公開している。

ニューズウイーク誌によると、「ブッチャの虐殺者」の異名を持つオムルベコフ中佐は、2014年のロシア軍によるクリミア侵攻での活躍が評されてドミトリー・ブルガーコフ副国務相から勲章を与えられているという。

3月30日にブチャを撤退した部隊は、現在は隣国ベラルーシにいるというが、情報機関はウクライナのハリコフなどへの再配置に向けて準備している可能性を示唆している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)