北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)=19トン」が遭難し、14人が死亡、12人が行方不明となった事故から7日目の29日、水深約120メートルの暗い海底で船体が見つかった。発見されたのは事故が発生したとみられる「カシュニの滝」付近の沖合だった。この日から捜索に加わった海上自衛隊掃海艇「いずしま」が、水中カメラを使って沈んだ船体を映像でとらえ「KAZU I」という船名文字を確認した。

現地対策本部がある斜里町内にて運航会社「知床遊覧船」(斜里町)桂田精一社長(58)が家族に説明会をしている最中、船体発見の一報が伝えられた。海上保安庁の担当者が割って入る形で家族らに「KAZU 1(カズワン)」の船名がカメラで読み取れた状況などを説明。「(発見は)いつですか」との質問はあったが、強い反応や涙する家族はおらず冷静に受け止めていたという。

午前中の説明会終了後、報道陣の取材に応じた国土交通省坂巻健太大臣官房審議官は「いろんな思いがあると思うが、1つの大きな進展だということをみなさん思われたのではないか」と家族らの様子について話した。

桂田社長はこの日3日連続の説明会に臨んだが、より詳細を知りたい家族側との隔たりは大きい。表情が見えるようにと要望を受け、この日もフェースシールドを着用し家族側から安全対策などの質問を受けた。坂巻審議官は「まだまだ(説明が)足りない部分がある。ご家族の方はご指摘されて、それに対してきちんとまた次回回答してほしいという話をされていました」と振り返った。

同社長はこの日、報道陣の問いかけに一切応じることはなかった。夕方から開かれた説明会終了後、28日に発見され亡くなられた方が安置される施設へ献花に向かった。船体発見も不明者が船内に取り残されている恐れがあり、一刻も早い捜索と確認が急がれる。【山崎純一】