沖縄が日本に復帰して50年を迎えた15日、沖縄・宜野湾市で記念式典が行われ、全国各地でも関連イベントが開催された。

東京・銀座の「銀座わしたショップ本店」も沖縄の食や工芸品を求める客でにぎわった。同店は22日までの「復帰50周年フェア」や、写真や新聞のパネル展を実施中。沖縄で育った後藤友興店長(49)は「私はちょうど『復帰っ子』と呼ばれる世代。復帰前の名残を感じたのは、子供のころに左ハンドルの車がけっこうあったことくらい」と記憶している。昨年4月から銀座で店長となり、コロナ禍の中でも足を運んでくれる客に感謝している。昨年8月の東京五輪では新種目の空手男子形に出場した喜友名諒(31=劉衛流龍鳳会)が県人初の金メダル獲得。今年4月からは沖縄を舞台としたNHK連続ドラマ小説「ちむどんどん」は放送中など、沖縄への注目は集まっている。

沖縄そばやサーターアンダギーなどが人気だが、「番組を見て来てくれるお客さまも多いです。ドラマの中で出てきた食材を購入する目的だったり」。今週はフーチャンプルがテーマだったため「お麩を買いに来てくれる方も多かったです」と明かした。

食材、飲料、酒類、伝統工芸品など、約4000を取りそろえる同店。「コロナで沖縄に行ってみたいけれど旅行出来なかったり、帰省出来なかったりする方が、『ここに来れば沖縄を感じられる』と言っていただける」と店長は使命も感じている。コロナの規制も少しずつ緩和しており、「空気感をここで10%味わい、実際に行って沖縄を経験して100%になるための策を講じていきたい」。沖縄への理解を深めてもらう尽力を継続するつもりだ。

お菓子などを大量購入した沖縄県うるま市出身の新宿区在住50代男性も、「子どもたちにも沖縄の文化だけでなく、心を伝えていきたい」と故郷への思いを巡らせた。「復帰してからも、平成に入るくらいまでは沖縄の文化などを理解してもらえなかった気がします。言葉のなまりなども含めて本土の人に『沖縄出身です』と大きく言えない気持ちがあった」。だが、今では「こういう世の中なので、沖縄の温かい心が広がっていけばよいと思う」と誇りも持っている。「軍事基地などの問題で今でも沖縄県人同士でもギクシャクしているのは悲しい」。平和を願う心にあふれていた。

都内で開催中の復帰50年記念特別展「琉球」に訪れたあとに買い物に来た千葉県佐倉市在住の40代女性グループや、江戸川区から「勉強のために、いろいろな県のアンテナショップ巡りに来ました」と言う家族もいた。50年前の沖縄がどういう状況だったのか、沖縄にはどういう食文化があるのか。子どもたちは「沖縄の沖は友達の沖田君と一緒」「縄は、いとへん」など国語の勉強にも発展。シーサーが伝説の獣像で、魔よけの意味を持つことも学んでいた。母の30代女性も「本島だけでなく、宮古や石垣の離島にも行ってダイビングをしてマンタに出会えたこともある。コロナが明けたら家族でまた行きたいですね」。

それぞれが持つ沖縄への思いを再確認した1日となった。【鎌田直秀】