千葉県木更津市で大型犬のドーベルマン2匹を盗んだ疑いで男女3人が逮捕された事件で、容疑者の計画的と思われる行動が20日、関係者への取材で分かった。

先月22日に今回被害にあった2匹の親子を含む4匹が逃げ出し、第1発見者となった同県松戸市の自称無職の岡島愛容疑者(29)らは、被害者の飼い主男性(79)と初対面した。保護後に男性が軽トラックで運ぼうとすることを拒否し、自分の車に乗せて抱きかかえながら飼い主宅まで移動。犬の飼育スペースなども写真に撮っていたという。

直後から同容疑者や、埼玉県草加市の自称自営業の高橋里衣容疑者(29)とみられる女性が保護団体のメンバーとして「犬を譲ってほしい」と接点を持ち続けていた。飼い主も交渉に応じ、28日には雄の子犬「ゴロウ」を引き取った。飼い主はすでに千葉県内の男性にも子犬を譲っており、残っていたのが母子2匹だった。

「ゴロウ」に関連して連絡をとってきたが、5月4日に「ゴロウがおなかを下し続けているので(今まで食べていた)エサをもう1度教えてほしい」と相談を持ち掛けた。飼い主は引き渡し時に、販売しているホームセンター名、商品名、空いたパッケージを手渡しており、容疑者自宅近くでの購入を勧めたが拒否。犬の体調を思えば翌日にでもすぐに木更津に出向くと思いきや、4日後の8日を断固強調。しかも午前10時の約束を、当日になって何度か時間変更を要求。午後1時半ごろに姿を1人で見せた。飼い主が自家用車に同乗してホームセンターに向かうことを打診しても拒否し、それぞれの車でエサ購入に行き、現地で解散。飼い主が午後2時半ごろに自宅に到着した際には2匹はいなかった。飼育用フェンスに取り付けていたワイヤも外されていたことも含め、飼い主は逃げたのではなく、盗難の可能性を強調してきた。

越谷市の自称自営業の佐藤徳寿容疑者(51)を含む3容疑者は、この日午前、8日午後1時半ごろから2時半ごろまでの間に男性宅の敷地内に侵入し、2匹と首輪2つを盗んだ疑いで、送検された。捜査関係者は「全容解明に向けて、今後も捜査する。もう少し時間はかかる」と、さらに共犯者や余罪がある可能性も含めて、捜査を続ける。

飼い主はこの日、報道陣に対して「捜査も続いているので話は出来ない」とした。自宅の庭に設置していた飼育用スペースを入念に掃除したり、フェンスを直したりしながら、愛犬の帰りを待った。2匹は動物を管理出来る施設に一時的に預けられており、飼い主に返却される日時は未定だ。