藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)が永瀬拓矢王座の挑戦を初めて受ける、将棋の「第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局」(産経新聞社、日本将棋連盟主催)が15日、新潟市西蒲区「高志の宿 高島屋」で行われた。対局は午後7時21分、138手の激戦の末に後手の藤井が永瀬を下し、対戦成績を1勝1敗とした。第3局は7月4日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われる。

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短期決戦の5番勝負の開幕局を落とした後手番の2局目で勝つと負けるのでは大違い。藤井棋聖も勝ててホッとしているでしょう。対局は40手目後手8六歩とうまく仕掛けてから、リードしていたと思います。ずっとつばぜり合いをしていましたが、80手目後手4七とでは、後手3六角の方が少し楽に戦えたかもしれません。先手の1四にある香と、6九にある飛にも当てられましたから。決め手はやはり、後手9七銀。「盤上この一手」でした。

永瀬王座の見どころは、その後の83手目先手6七銀と受けた局面。私なら銀は攻めに使いたい派で、「もったいないな」と思いましたが、受け派の本領発揮といったところでしょうか。

棋聖戦は1勝1敗となって、大いに面白くなってきました。改めての3番勝負に注目です。(加藤一二三・九段)