将棋の最年少5冠、藤井聡太王位(竜王・叡王・王将・棋聖=19)が豊島将之九段(32)の挑戦を受ける、「お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負第1局」が28日、愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」で開幕する。藤井は王位3連覇を目指す。豊島は59期以来のタイトル奪還を狙う。

両者は27日、立会人が同席のもと、照明の具合、駒や盤、座布団の座り心地などを確かめる検分を行った。会見した藤井は「前期は序盤で先行される対局が多くあった。そこが課題になる」と気を引き締めた。この棋戦に向け「進」の文字を揮毫(きごう)した。「苦戦した前期よりも進歩したいという意味を込めた」と説明した。

両者は昨年、王位戦、叡王戦、竜王戦と3つのタイトル戦を戦い、藤井がすべて勝利した。竜王と叡王を持っていた豊島は無冠に転落した。

2年連続の王位挑戦となる豊島は「新」の文字を揮毫した。「今年に入り、新しい気持ちで将棋に取り組んでいる。いい将棋を指したい」と意気込んだ。

対局場となるホテルからは国宝「犬山城天守」が見える。愛知は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の「三英傑」の出身地。戦乱の世、3人の武将は交通の要衝だった木曽川沿いの小高い山の上に築城された犬山城を奪い合った。愛知県瀬戸市在住で、天下統一を狙う藤井が好きな戦国武将は織田信長だ。愛知県一宮市出身で、戦型選択のバリエーションが豊富な豊島も信長だ。2人とも「革新的なところが好き」と口をそろえる。「犬山決戦」で将棋の新たな一手が生まれそうだ。【松浦隆司】

 

<お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負日程>

◆第1局 6月28、29日、愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」

◆第2局 7月13、14日、札幌市「ぬくもりの宿ふる川」

◆第3局 7月20、21日、神戸市「中の坊瑞苑」

◆第4局 8月15、16日、佐賀県嬉野市「和多屋別荘」

◆第5局 8月24、25日、徳島市「渭水苑」

◆第6局 9月5、6日、静岡県牧之原市「平田寺」

◆第7局 9月19、20日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」