全国でも屈指の激戦区となった京都選挙区(改選数2)。これまで与野党が1議席ずつ分け合ってきたが今回、日本維新の会の参戦で様相が一変した。公示後も各党幹部が続々と京都入り。古都の戦いを追った。

28日午後、日本維新の会副代表の吉村洋文知事が維新新人の楠井祐子氏(54)とともに京都市内でマイクを握った。「自民でも立憲でもない第3の選択肢が必要だ」。公示後、異例とも言える3度目の京都入り。維新は大阪と隣接する京都を「最、最、最、最重点区」と位置づけ、「全国政党」の足掛かりとする狙いがある。ライバルの陣営の幹部は「維新は本気だ」と危機感を強める。

京都選挙区には現行制度では過去最多の9人が立候補。5選を狙う立憲現職の福山哲郎前幹事長(60)が最大のピンチに立たされている。これまで福山氏と協力関係にあった国民民主の前原誠司代表代行(衆院京都2区)がたもとを分かち、維新の楠井氏を推薦した。吉村氏と肩を並べ、マイクを握った前原氏は「中道保守の改革勢力を結集し、国民に新たな選択肢をつくっていく」と訴えた。

京都は立憲の泉健太代表(同3区)のお膝元。福山氏は街頭演説で「大阪から京都のことをとやかく言われる筋合いはない。京都のことは京都で決める」と維新への対抗意識をあらわにする。24日に泉氏が応援に入り、29日には衆院1期生議員が自主的に結成した「福山全力応援! 1期生勝手連」のメンバー10人が京都入りする。

自民も維新の参戦に警戒感を強める。二之湯智・国家公安委員長の引退に伴い、新人の吉井章氏(55)が立候補。京都市議15年の実績に触れ、「みなさんの声を自分の手で国に届けたい」と強調。知名度不足を補うため、公示前には岸田文雄首相、公示日には茂木敏充幹事が京都入り。議席継承を目指す。

議席奪取に共産も本気だ。26日、志位和夫委員長とともに街頭に立った新人の武山彩子氏(51)は「多様な声で政治を前に進める」と力強く訴えた。志位氏はラストサンデーの7月3日も現地入りする予定だ。夏の古都で与野党が火花を散らす。【松浦隆司】