藤井聡太王位(竜王・叡王・王将・棋聖=19)に豊島将之九段(32)が前期に続いて挑戦する、将棋の「お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負」は29日、先手の豊島が先勝した。28日午前9時からの2日制で始まった対局は、先に仕掛けた豊島が藤井の持ち時間と神経を削り、攻めをつなげて寄せ合いを制し、昨年に続いて開幕局を白星で飾った。

最後は時間を使いながら、詰みを確認した。「すごくうまくいったという感じはなかったです。決断良く指しました。読み抜けがなければ勝ちだと思っていました」。

昨年11月に竜王のタイトルを失い、無冠となって以来のタイトル戦。開幕の記念に求められた揮毫(きごう)に「新」(藤井は「進」)という字を選んだ。「今年、新しい気持ちで将棋に取り組んでいますので」と説明した。特に中~終盤を強化するため詰め将棋を解く量を増やしたという。地に足をつけたやり方を見直して早速、結果を出せた。

第2局は7月13、14日、札幌市「ぬくもりの宿ふる川」で行われる。「少し空くので、しっかり準備して頑張りたい」。2018年(平30)の棋聖戦、王位戦、19年の名人戦、竜王戦、20年叡王戦と挑戦者としてタイトルをすべて奪取した。その勢いを再現できるか、次局以降、真価が問われる。