将棋の女性初の棋士を目指し、プロ棋士編入試験を受験することを表明した里見香奈女流4冠(30=女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花)が6日、大阪市内で会見し、意気込みを語った。

会見での里見4冠との主な一問一答は以下の通り

--棋士編入試験受験を決めた経緯は

里見 1カ月、あまり深く考えることがなく、他棋戦の対局もあったので、目の前の対局を全力でこなしていた。挑戦してみたいという気持ちが出てきたので、挑戦を決めた。

--編入試験は新人の棋士5人と対戦する

里見 正直、自分の実力では厳しい戦いになる。試験までに、できる限りのことをして全力で臨みたい。

--初の女性棋士誕生のかかる注目の編入試験となる

里見 悔いのないように、過ごしていきたい。周りのみなさんに何か届けることができたらいいな。

--女性初について

里見 注目していただけるのはうれしい。女性初ということが珍しくないような社会になればいいなと思う。

--男性と女性の体力差があるスポーツ競技もある。将棋は頭脳ゲームだが、男性と女性の差を感じるか

里見 現状としてはかなり差がある。少しでも埋められるように。囲碁界では男性、女性に関係なく、実力が拮抗(きっこう)している印象を受ける。それも刺激になっている。

--女流棋士とプロ棋士の違いを理解していない方もいる。プロ棋士に対する思いは

里見 奨励会に編入したときは、棋士になることだけを考えてやっていた。いまは少し違う。将棋は大好きなので、少しでも自分の棋力向上を目指して、強い方と対局したいという思いが強い。

--奨励会を退会後、棋力が上がっているように見える。勉強方法は変わったか

里見 時間重視の勉強をしていたが、年を重ねるにつれ、勉強の仕方を変えた。人工知能(AI)が強くなっている。自分の個性を出せる将棋をしたいと思っている。

--AIの将棋ソフトをどう活用しているか

里見 自分の棋譜と照らし合わせてというところもあるが、すべてAIの将棋ソフト通りに指せるわけではない。AIが「よし」としている場面と、自分がこの先、指しこなしていけるかという局面が一致したところを使っている。すべてをAIに頼るわけではない。

--対戦する若手棋士は最新のAIの将棋ソフトを採り入れている棋士も多い。対策は

里見 それぞれで変わってくる。相手がどうこうではなく、自分がより力を出し切ることができる対策を練りたい。

--合格した場合、女流棋士の活動も続けるか

里見 続けるつもりだが、まだ現実になったわけではないので、そうなってから考える。

--挑戦を決断するために両親に相談した

里見 両親はだいたい何を考えているか分かる(笑い)。あまり相談はしなかった。

--奨励会のときの心境と現在では

里見 かなり心境が変わっている。将棋を指せていることがどれだけ幸せかということに気づいた。

--編入試験は最大で5局ある

里見 5局を全体で考えるというよりも、目の前の対局に全力を尽くしたい。