近鉄大和西大寺駅北口で街頭演説中に銃撃され、死亡した安倍晋三元首相。殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者(41)の犯行前の動きが複数の証言により浮かび上がってきた。

男は当初、駅北口の向かい側、北西にあるビルの下で様子をうかがうようにしていたという。演説が始まると横断歩道を渡る形で目の前を2~3度、ゆっくりと歩くのを目撃されている。現場にいた男性は「うろうろしていて、様子がおかしかった。きょろきょろしているようにも見えました」と明かした。

演説が行われていたのは、駅前ロータリーから続く横断歩道の中央付近にある一角。安倍元首相が登壇する頃になると、男は当初いたビルの下とは反対側、駅ロータリーのバス停付近に移動した。同元首相からは死角になる場所だった。

近くにいたという女性によると、安倍元首相が登壇すると男は拍手をしていたという。演説が始まり、1~2分が経過すると、バス停付近から歩いて安倍元首相の背後に近づいた。

60代女性によれば「道の真ん中に立ち、安倍さんの後ろから至近距離で大きな銃のようなものを構えた」。別の女性は「カバンから大きな双眼鏡のようなものを出したと思ったら、花火が打ち上がるような大きな音がした」。10代男性は「1発目の発砲が聞こえると、安倍さんがよろめくような感じになった。2発目の音が鳴ってすぐに倒れた」と当時の状況を説明した。

発砲された瞬間に白煙が上がり、炎のようなものが見えたとの証言もある。

現場は悲鳴とともに、拡声器で「看護師の資格を持っている人はいませんか」「早く救急車を呼んで」という声が響き、騒然とした雰囲気に包まれた。