安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者は鉄パイプを2本束ねたような手製銃を犯行に使用した。銃に使用した火薬は、製造や販売が火薬類取締法で規制されている一方で、簡単に手に入るとも言われている。銃器評論家の津田哲也氏(63)に話を聞いた。

津田氏は山上容疑者が使用した手製銃について「発砲した時の音とか煙を見ると、かなりの量の火薬を使ったんじゃないか」と分析した。事件現場から約90メートル離れた壁に弾痕のような穴が見つかり「有効射程距離とは言いませんが、その距離でも殺傷力は残している。相当威力があったかと思います」と説明した。

山上容疑者はYouTubeの動画を参考に銃を製造したとの趣旨の供述をしている。津田氏は「銃の構造を示すものをネットなどでいろんな所から拾って来たんでしょう。基本の原理、構造がわかっていれば子どもでもまねができる」と指摘した。銃身となる鉄パイプはホームセンターなどで購入可能。火薬類取締法で規制されているが黒色火薬は、市販の花火を違法に分解することでも入手することができる。津田氏は「それぞれ材料の用途を事前にチェックするのは不可能に近い。手製銃の規制は難しいです」と語った。

津田氏によると、日本の暴力団の間で70年代に手製銃が流通していたことがあるという。今回の事件については「暴力団でもなく一般の人が手製銃で殺害に及んだのは、極めてまれなできごと」と述べた。その上で「刃物だったら警護は阻止できた。銃は想定外で銃規制に厳しい日本だからこそ起きた、犯罪だと思います」と話した。【沢田直人】