77回目の終戦記念日を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京・日本武道館で行われた。犠牲になった約310万人の戦没者を慰霊する式典に昨年10月の政権発足後、初めて出席した岸田文雄首相は哀悼の意を示し、「今日、私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者のみなさまの尊い命と苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません」などと式辞を述べた。

また「歴史の教訓を深く胸に刻んできた」と言及する一方で、アジア諸国への加害責任には触れず、故安倍晋三元首相の歴史認識を踏襲した。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、「いまだ争いが絶えることのない世界にあって我が国は積極的平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら世界が直面するさまざまな課題の解決に全力で取り組んでいく」と強調した。

正午から1分間の黙とう後、天皇陛下が「過去を顧み、深い反省の上に立って再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と、今年も反省のお言葉を述べられた。

厚労省によると、今年の参列者数は992人となったが遺族の高齢化が進んでいる。遺族代表で追悼の辞を述べた岡山県の大月健一さん(83)など70歳以上が約8割を占め、最年長は広島県の澤崎卓兒さん(95)だった。コロナ禍以降、初の行動制限がない夏となったが新型コロナ対策で3年連続の規模縮小となり、12日までに京都、山口、愛媛、沖縄の4府県が参加を取りやめた。今年も国歌斉唱は行わず、演奏のみとなった。