東京オリンピック(五輪)・パラリンピックを巡る汚職事件で、組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78=受託収賄容疑で逮捕)が、出版大手「KADOKAWA」(東京)のスポンサー選定について組織委側に働きかけたとみられることが3日、分かった。KADOKAWAは19年4月にスポンサーに決まった後、高橋容疑者の知人が経営する会社に、10回に分けて総額7000万円をコンサルタント料名目で提供していた。東京地検特捜部は、資金の趣旨や経緯を調べている。

【東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件 現時点までの状況】

▼17年1月 組織委元理事の高橋容疑者とAOKIHD前会長の青木容疑者が7億5000万円でスポンサーになることで合意。5億円がスポンサー料。残りのうち約2億3000万円が高橋容疑者の会社「コモンズ」に入金。一部は選手強化費名目で競技団体2つに支払われ、コモンズに1億5000万円前後が残ったとされる。

▼17年7月ごろ 森氏が高橋容疑者を介し、青木容疑者と面会したとみられる。AOKIHD側は森氏に現金を渡したともみられる。森氏はスポンサー選定で話したことはないと回答。高橋容疑者は、森氏、青木容疑者と一緒に面会は数回あるが、森氏にスポンサーとして後押しする発言はしていないと説明しているもよう。

▼17年9月 AOKIHD側と高橋容疑者が資金提供の契約を締結。コモンズに月100万円を支払う内容で、同10月から今年3月までに計5100万円に上った。AOKIHD側は昨年6月ごろまで、高橋容疑者に請託を繰り返し、便宜はスポンサー選定、追加分のスポンサー料減額など多岐にわたるとされる。高橋容疑者は否認とみられる。

▼18年10月 AOKIHDが、ビジネス&フォーマルウエアの分野でオフィシャルサポーターに決定。

▼19年4月 KADOKAWAが、書籍および雑誌の出版サービス分野のオフィシャルサポーターに決定。その後から、高橋容疑者の知人が経営する会社に計7000万円を提供。この知人がKADOKAWAをスポンサーに後押しするよう高橋容疑者に依頼していたとみられる。