藤井聡太王位(竜王・叡王・王将・棋聖=20)が豊島将之九段(32)の挑戦を受けている、将棋「お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負第5局」が5日からの2日制で、静岡県牧之原市「平田寺」で開催される。

同市でのタイトル戦は初開催。平田寺は鎌倉時代に開かれ、戦国末期に1度焼失した。江戸時代の1786年、この地を治めていた相良(さがら)藩主で、老中も務めた田沼意次によって再建されたという。決戦前日の4日、両対局者は初めてこの地に足を踏み入れ、対局会場の検分をした。

藤井は20代初のタイトル獲得を目指す。「歴史を感じながら対局できれば」と話した。対局時、初手の前にお茶を口に含むルーティンについて、「明確なキッカケがあったわけではありませんが、何回かやっているうちに一番落ち着くかなと思って続けています」と、お茶どころで語った。

7月17日に棋聖を防衛し、10代最後の対局を白星で飾った。今シリーズもここまで3勝1敗。3連覇まであと1勝としている。

過去9回のタイトル戦のうち、Vまであと1勝としながら足踏みしたのは、5番勝負の20年棋聖戦と21年叡王戦だけ。残り7回はすんなり決めている。特に7番勝負で3勝目を挙げた次の対局は、4戦4勝。勝率10割を誇る。「スコアのことは気にせず、盤上に集中できればと思っています」。防衛がかかった大一番の前にも自然体だった。

対する豊島は、王座戦5番勝負とかけ持ちしている。8月31日の開幕局では永瀬拓矢王座(30)を下した。「(王位戦の)2~4局目は戦いが始まったあたりで良くない手を指し、負けてしまう展開だった。星取りはかなり苦しくなっていますけど、目の前の1局に集中して、1局でも多く戦えるように頑張っていきたい」と、抱負を述べていた。【赤塚辰浩】