英国のエリザベス女王が8日、死去した。96歳。1952年(昭27)2月6日、25歳で即位してから70年、英国史上最長の君主として君臨。英国民だけでなく、世界中の人に親しまれてきた女王が、この世を去った。

エリザベス女王は1926年4月21日生まれ。父ジョージ6世が死去したのを受けて、52年2月6日、25歳で女王に即位。戴冠式は53年6月2日に行われ、史上初めてテレビ中継もされた。即位前の47年には、ギリシャ出身で遠縁に当たる海軍大尉のフィリップ殿下と結婚。端正な顔立ちで、女王の一目ぼれだったといわれる。長男チャールズ皇太子、長女アン王女、次男アンドリュー王子、三男エドワード王子の4人の子どもをもうけた。

女王はユーモアのセンスがあり、年を重ねてもトレンドに敏感なことでも知られた。2012年のロンドン五輪開会式では、「007」のジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)と“共演”。ボンドとともにパラシュートで開会式会場に降り立つ演出が披露され、世界をあっと驚かせた。

今年の在位70年行事に関連したコンサートの冒頭には、クマの「パディントン」と動画で共演。お茶を楽しむ様子や、クイーンの大ヒット曲「We will rock you」に合わせて、ティーカップを鳴らしてリズムを取る、おちゃめな様子が話題になった。愛犬家でも知られ、コーギーを好んで飼っていた。

苦難の時期もあった。1980年代後半から90年代前半にかけては、チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃の不仲報道をはじめ、王室スキャンダルが続出。皇太子夫妻が離婚した92年、女王は「人生最悪の年」と語ったこともある。また皇太子夫妻の離婚後、ダイアナ元妃が97年、パリで交通事故死した際には、バッキンガム宮殿に当初追悼の半旗を掲げず、女王の対応が冷たいと国民の大きな批判にさらされた。

国民の王室不信が急激に高まり、当時の様子は映画「クイーン」でも描かれた。この時を教訓に、国民に寄り添う姿勢を大切にしたことで、信頼を回復した。