消費者庁は17日、霊感商法など悪質商法の対策を議論してきた有識者による検討会の報告書を公表。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について「社会的に看過できない深刻な問題が指摘されている」とし、「解散命令請求も視野に、宗教法人法に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある」と提言した。霊感商法などによる消費者被害の救済のための法制上の措置や、宗教2世に対する支援なども求めている。

提言では、解散命令について「法人格を剥奪する重い対応で、信教の自由を保障する観点から、裁判例も踏まえ、慎重に判断する必要がある」とした上で「旧統一教会については、組織的な不法行為に基づき損害賠償を認める裁判例が複数積み重なっており、宗教法人法における“法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした”または“宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした”宗教法人に該当する疑いがある」と指摘。「所轄庁において、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく質問の権限を行使する必要がある」とした。

霊感商法などで結んだ契約の取り消し権については「要件の緩和を検討すべき」「マインドコントロールから抜け出すためには相当程度の時間を要するとの指摘がなされていることも踏まえ、その行使期間の延長を検討すべき」とした。

寄付や献金の規制については「正体隠しの伝道などの本人の自由な意思決定の前提を奪うような活動手法や、マインドコントロール下で合理的な判断ができない状況への対応も念頭に、より幅広く一般的な禁止規範を規定すべき」とし、「禁止規範に違反した場合は、意思表示の取り消し、無効なども検討すべき」と提言した。

ほかにも、公認心理師、精神保健福祉士、精神科医、宗教社会学者、弁護士等の専門家とも連携し、当事者や家族の支援を行う専門的な相談窓口を設ける。宗教2世に対する支援を行う必要。幅広い世代への消費者教育の推進なども盛り込んだ。

検討会は旧統一教会問題に取り組んできた弁護士や大学教授らで構成し、8月下旬から議論した。検討会は「消費者庁においては、本検討会における提言を踏まえた施策をスピード感を持って着実に実施すべきである」と報告書を結んでいる。