今年7月からミャンマーで拘束され、計10年の刑期が言い渡されている日本人ドキュメンタリー制作者の久保田徹さん(26)の即時無条件解放を求め、友人や支援者らが26日、都内で会見を開き、現況を報告しただけでなく、日本政府によるさらなる交渉強化を願った。

昨年4月にヤンゴンで約1カ月の拘束経験を持つジャーナリストの北角裕樹さん(47)は「元気にして伝わっておりますが、私の時よりも状態は悪化している。私も精神を前向きに持っていくことが一番大変だった。くじけないことが大切」と久保田さんを激励する気持ちを表現。19日に収容先のインセイン刑務所で爆発が起き死傷者が出て以降は差し入れなどが禁止されていることなどの心配要素も加わり、長期化に懸念を抱いた。

また、インターネットなどの電子通信に関する罪および扇動罪の禁錮計7年は軍事法で控訴できず、通常裁判の入国管理法違反の禁錮3年に関しても「本人が控訴する意向があるとは聞いておりません」とした。有罪判決に「(ミャンマー当局では)7月1日に入国したことになっていますが、我々友人の中では7月13日に成田空港をたったということになっている。ずさんな捜査で事実を軽視している証拠だと思っている。まことに不当で、即時解放を求めたい」と語気を強めた。

国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の笠井哲平プログラムオフィサー(31)も「裁判は国際社会の監視下で行われ、ほぼ確実に有罪判決を受ける。日本政府は拘束されているすべての人を解放するよう、出来る限りのことをすべき」と訴えた。

久保田さんは、今年7月30日にミャンマー最大都市ヤンゴンで行われた軍に対する抗議デモ取材後に、治安当局に拘束された。北角さんによると、インセイン刑務所の約2・5メートル×約4メートルの独居房に収容され、ビルマ語の勉強をするテキストや読書に使用する本を取り寄せているという。

在日ビルマ市民労働組合のミン・スイ会長(62)は「日本政府に届くように」と日本語で「外交政策が大事」と強調。最近では米国人ジャーナリストが拘束時に米議員が直接ミャンマー入りして解放に至った例も示した。日本政府も早期解放を求めているが、見通しは立っていない。【鎌田直秀】