雑誌「日経トレンディ」の「2022ヒット商品ベスト30」「2023年ヒット予測30」の先行発表会が3日、都内で行われ、乳酸菌飲料の「Yakult1000/Y1000」が「2022ヒット商品ベスト30」の1位に輝いた。

同商品は腸活がメインだった乳酸菌飲料に、睡眠の質改善という価値を加え、大ヒット。

同イベントに「来年の顔」として出席した高橋文哉(21)は同商品を飲んだといい「知り合いから1本だけもらって。大事な撮影の前に飲みました。ぐっすり眠れました」と効果を実感していた。

同商品は、「悪夢を見るほど爆睡できる」とうわさが広がり、常時品薄状態になった。1日あたり42万7000本だった販売ペースが、22年4月以降、約4・2倍となる1日180万本ペースに上昇。累計10億本近く売れた。乳酸菌飲料全体が前年比135%に伸びるなど、業界全体に影響を与えた。

▽「2022年ヒット商品ベスト30」

1 Yakult1000/Y1000(眠りを切り口にした乳酸菌飲料が累計10億本近く売れた。「悪夢を見るほど爆睡できる?」とうわさが広がり、常時品薄状態に)

2 ちいかわ(見た目のかわいさとシビアな世界観のギャップが熱狂的なファンも生む。テレビアニメを再配信したYouTubeは累計5300万再生を突破)

3 PCM冷却ネックリング(「24~28℃で凍る」という、化学の力を生かした“首輪”がエコな暑さ対策として浸透。多数の会社が参入し、子供用やペット用なども登場した)

4 トップガン マーヴェリック(大ヒット作の続編が36年ぶりにスクリーンに。1作目を知らなかった若者もはまって興収132億円超え。“追いトップガン”現象も起きた)

5 完全メシ(ジャンクな装いのバランス栄養食品4種類5品が一斉に発売。「意識高くない」30~40代男性の心に刺さり、計400万食売れた)

6 炭酸飲料対応ボトル(国内メーカーの保冷ボトルがついに炭酸対応。外出ムードも後押しし、夏に向けて市場が急拡大。約36万本の市場が誕生した)

7 翠ジンソーダ缶(踊り場のレサワブームの中、突如現れた新星。350万ケースに達する見込みで、2009年の「角ハイボール缶」ヒットを上回る勢い)

8 日産サクラ/eKクロス EV(2車種で4カ月に3万6000台超を受注し、いわば国民車の軽自動車カテゴリーで存在感を示す。これまでにない安さのEVに消費者が飛びついた)

9 スプラトゥーン3(敵を撃つ殺伐さを排除したポップな世界観のシューティングゲームに初心者も参戦。発売3日で345万本の最高記録を樹立)

10 冷やし中華(麺の上の氷が電子レンジで加熱しても溶けずに残る“仕掛け”に驚いた。麺の食感と簡便さも受けて200万食超のヒットに)

11 ファブリーズ お風呂用防カビ剤(「置くだけ」という究極の手軽さで防カビ需要を開拓。浴室の防カビを諦めていた消費者が手に取り、新規参入でシェア2割を獲得)

12 SHEIN(安くて映える服を扱う中国発のファッションECがZ世代をとりこにした。国内アプリの月間利用者数はZOZOTOWNを超えた)

13 Tamagotchi Smart(発売から25年で初のスマートウオッチ型が、シリーズ全体で年間70万個出荷と爆発的ヒット。休眠ユーザーも呼び起こした)

14 ONE PIECE FILM RED(人気漫画の映画15作目がシリーズ最高記録で22年の興収1位。ミュージカル映画のように心情を描写した音楽が観客の心をつかんだ)

15 アリナミンナイトリカバー(栄養ドリンク剤が「しっかりと寝て疲れを取りたい」というニーズも取り込んだ。睡眠ブームにも乗り、1250万本超の販売を記録)

16 第2次カヌレブーム(かつてはやったフランスの伝統焼き菓子が再びブームに。大手メーカーやコンビニから進化系が相次いで登場した)

17 セカンド冷凍庫(冷凍食品市場の拡大に合わせて、販売数量が過去14年で最大規模を記録。置き場所に困る家庭の悩みを解決する新製品がよく売れた)

18 アサヒ生ビール(缶ビールとしては28年ぶりに復活して、22年のビール市場で最も伸びた。479万ケースを販売して大手3強の一角に食い込んだ)

19 YOLU(競合がひしめくヘアケア分野で「夜間美容」という新市場を創出。「寝ながらヘアケア」で時短も訴求し、計約1000万本を販売)

20 instax mini Evo(デジアナ融合に成功して売れ行き絶好調で、22年4月以降は計画の3倍以上を販売。レトロな外観に中高年層も引き付けられた)

21 SPY×FAMILY(人気漫画がアニメ化で認知度が急上昇。コミックは発行部数2650万部を突破して、登場人物の「アーニャ」はSNS上のアイドルになった)

22 チューナーレステレビ(チューナーがなく、テレビ放送が見られない異色の家電が、リアルタイム視聴不要派に大人気。ドン・キホーテだけで1万7000台を販売)

23 ナイトミン 耳ほぐタイム(耳を温める新発想で安眠を訴求したところ、SNSで効果や気持ち良さの報告が相次いだ。睡眠意識の高まりもあり、1年で146万個を出荷)

24 ぷにるんず(本体の穴に指を入れると画面内のキャラクターを“触れる”精巧ギミックが人気のデジタル玩具。販売再開のたびに売れ30万個を出荷した)

25 旅行ガチャ(行き先が選べない“ランダム旅行”がワクワク感とお得感で人気に。ピーチ・アビエーションの「旅くじ」は累計2万7000個を販売した)

26 ワークマン キャンプギア(好調続くキャンプ業界に、ワークマンが自社開発素材と通販専用を武器に殴り込み。価格破壊で初心者を取り込み、約40億円を達成)

27 丸ごとシイタケスナック(シイタケを丸ごと使ったスナックが、味付けの工夫でおいしいヘルシースナックに。ドン・キホーテでは月間5000万円の規模に)

28 卓上サワー(テーブルの注ぎ口でレモンサワーなどを自由につげる飲み放題が、コト消費人気で店舗採用率3倍超に。一部大手チェーンも追随した)

29 大阪中之島美術館(約40年越しで建てられた美術館が、開館初年に10万人超えのヒット展覧会を連発。写真映えする建物の魅力で若年層も取り込んだ)

30 三井住友カード ゴールド(NL)(かつてはステータスだったゴールドカードが“無料化”と高還元を売りに、前年同期の従来版に比べて18.9倍の発行枚数を記録した)