赤い缶に入った甘いキャンディーで知られる「サクマ式ドロップス」を製造、販売する佐久間製菓(東京)が23年1月20日で廃業することが9日、分かった。

佐久間製菓の担当者によると、新型コロナ感染拡大の影響で販売が減少した。砂糖などの原材料やエネルギーの価格高騰が重なり経営が悪化。売り上げが伸びず、人員の確保が難しくなったなどの問題もあり、廃業を決めたという。東京商工リサーチによると、21年9月期に1億5000万円を超える最終赤字を計上していた。

緑の缶の「サクマドロップス」を販売している「サクマ製菓」は別の会社で、営業を続ける。

2つの似た商品と会社名が存在しているのは、創業者が同じで、一時廃業後に別々の会社が設立されたことが理由。1908年に佐久間惣治郎氏が、初の国産ドロップとして、サクマ式ドロップスの登録商標を取得。佐久間製菓を創業した。戦時中、工場などが被害を受けて一時廃業したが、48年に実業家の横倉信之助氏が「佐久間製菓」の社名で再興した。一方、一時廃業前の佐久間製菓の社長だった山田弘隆氏の三男・隆重氏が、49年にサクマ製菓を設立し「サクマドロップス」を製造販売している。【沢田直人】