岸田文雄首相は12日朝、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議に出席するため、カンボジアに到着し、さっそく同会議に出席した。

葉梨康弘前法相の失言問題で葉梨氏を事実上更迭したことを受けたトラブルで、当初の予定から出発が10時間以上遅れた。睡眠もそこそこに首脳外交をスタートさせることになり、「葉梨ショック」という国内問題の影響を引きずったまま、外交の舞台に立つことになった。

首相は11日の法相交代がなければ、当初、同日午後3時に羽田空港を政府専用機で出発する予定だった。しかし閣僚交代に伴う一連の日程に追われ、公邸に戻ったのは、同日午後7時半すぎだった。

外務省によると、首相ら一行を乗せた飛行機が羽田空港を出発したのは、12日午前1時8分。首相は、機内で短い睡眠をとっただけで、現地に到着早々、会議に出席する「弾丸日程」になってしまった。

今回のバタバタ日程は、葉梨氏を交代させる自身の判断が遅れたことも影響している。当初、この日に予定されていたベトナムやラオスなどの首脳との個別会談の日程はいったんキャンセルされ、再調整を余儀なくされた。

13日には、日米韓首脳会談や日米首脳会談といった重要な日程が予定されている。外相を4年7カ月務め、「外交の岸田」を自負する首相は、外交の舞台で「葉梨ショック」を払拭(ふっしょく)できるのか、関心が注がれている。

首相はカンボジアでの会議を終えた後、インドネシア、タイの東南アジア各国を訪問する予定。