渡辺明棋王(名人=38)への挑戦権を争う、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント(挑決T)決勝、羽生善治九段(52)対佐藤天彦九段(34)戦が17日午前10時東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。先手後手を決める振り駒の結果、歩が5枚出て、羽生が先手となった。両者は2016年、18年と名人戦7番勝負で対決し、16年は4勝1敗で佐藤が奪取。17年に稲葉陽八段を下して初防衛後、18年にも4勝2敗で羽生の挑戦を退けている。

タイトル獲得通算99期の羽生は今回、20年竜王戦以来の挑戦権獲得を目指す。棋王戦は8期ぶりの登場をかけ、準決勝では昨年の新人王である伊藤匠五段(20)を下した。7人総当たりの王将戦挑戦者決定リーグ戦も5戦全勝で、挑戦権獲得まであと1勝としている。

 

佐藤は今期、準決勝で藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)を下している。棋王戦では7期ぶり2回目の挑戦を狙う。

くしくもこの日は、「将棋の日」。1975年(昭50)に日本将棋連盟が制定した。江戸時代の中期から、江戸城の御黒書院(おんくろしょいん)において、時の将軍の前で年に1回行われていた。それが旧暦の11月17日だったことにちなんでいる。18世紀前半の8代将軍吉宗の時代に、期日は決められたという。

それから約300年後、名人獲得経験者同士が対決する。勝者は挑戦者決定戦(挑決)に進出。敗者は、この日予定されていたが伊藤がコロナに感染して延期となった、敗者復活1回戦の藤井対伊藤戦の勝者と、敗者復活組の挑決進出者決定戦を行う。

挑決T優勝者と敗者復活からの勝ち上がりで競う挑決は、優勝者が1勝すればスンナリ挑戦権獲得。敗者復活からの勝ち上がり者は、優勝者に2連勝することが挑戦権獲得の条件となる。変則2番勝負だ。

持ち時間は各4時間。決着は17日夜の見込み。