鈴木楽器製作所(浜松市)は25日、探していた同社製の国内初の鍵盤ハーモニカ「メロディオン」の初号機「スーパー34」が見つかり、寄贈されたと発表した。

「メロディオン」は、1953年(昭28)にハーモニカの製造で創業した同社が、ハーモニカのように気軽に子どもたちが持てる鍵盤楽器として開発し、61年に初号機を発売した。67年に国が教材として位置付けたことから全国に普及し、71年ごろまで製造され、80モデル以上、約2730万本以上が販売されたという。来年2月1日の創立70周年に合わせ、今年7月から寄贈者を募集していた。

鈴木楽器によると、10月下旬になってこの「捜索願」に対し、同社の子会社から「社内の棚の中にあった」と報告を受けたという。一部出ない音もあったが、楽器はきれいなまま。ケースもきれいな状態だったという。この初号機、子会社社員だった男性の父親が、鈴木楽器の創業者からもらい受けた。20年ほど前、自宅より会社の方が保管できるとして、子会社に寄贈していたという。

鈴木楽器の担当者は、「灯台下暗しでした。サッカーW杯がドーハの奇跡なら、こちらは『メロディオンの奇跡』が起こりました」と話す。初号機は本社に展示され、一般の見学も可能にする予定としている。【赤塚辰浩】