将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける、第35期竜王戦7番勝負第6局が2、3の両日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」で行われ、113手で先手の藤井が勝ち、4勝2敗でタイトルを初防衛した。通算タイトルは最速、最年少で歴代9位の11期目を獲得した。20歳4カ月での竜王初防衛は最年少記録。渡辺明名人(棋王=38)の21歳7カ月を17年ぶりに更新した。

今年で35期となる竜王戦で、タイトルを獲得した経験があるのは1988年(昭63)の第1期の島朗から古い順に羽生善治、谷川浩司、佐藤康光、藤井猛、森内俊之、渡辺明、糸谷哲郎、広瀬章人、豊島将之、藤井聡太とのべ11人。このうち、竜王を初めて獲得した翌年に防衛できたのは、やはり古い順に谷川、藤井猛、渡辺、豊島、藤井聡だけ。羽生を含めて、過半数の6人は初防衛戦でタイトルを失っている。

7番勝負は例年10~12月開催のため、気候的に体調管理が難しい。竜王戦に登場する棋士は、年内に挑戦者を決める王将戦のリーグ戦や棋王戦のトーナメントに加え、全国を転戦するJT日本シリーズや、NHK杯や銀河戦と、大詰めに差しかかるテレビ棋戦でも勝ち残っているケースも多い。中2~3日と、間隔が詰まる強行軍が響く場合もあり、好調の維持や対局への準備が難しい。

◆竜王戦 九段戦、十段戦を発展的解消し、1988年(昭63)に創設。将棋の8大タイトル戦の1つ。優勝賞金4400万円は将棋界最高金額。1~6組に格付けされたランキング戦(予選)を行う。全棋士に加え、プロ棋士を目指す奨励会員、女流棋士、アマチュア強豪も参加する。1組の上位5人、2組の優勝者と2位、3~6組の優勝者の計11人による決勝トーナメントを行い、決勝進出両者による3番勝負で挑戦者を決める。竜王と挑戦者は例年10~12月に7番勝負を行う。かつては海外対局も行っていた。