「足の神様」として知られる大阪府豊中市の服部天神宮で5日朝、FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝トーナメント(T)1回戦、クロアチア戦の日本代表の必勝祈願祭が行われた。加藤大志禰宜(ねぎ=25)が「森保一監督を長として、26名の選手たちが結束し、ためらうことなく、日頃鍛えたる技と心の極みを尽くしてほしい」と祝詞(のりと)を読み上げた。

祈願祭は、日本が初出場を果たした98年のフランス大会から毎回開催されている。加藤芳哉宮司(63)によると、天神さんの御利益にあずかったスポーツ選手は多く、男子サッカーのメキシコ五輪得点王釜本邦茂氏は、現役時代からしばしば参拝に訪れていたという。ドイツ戦、スペイン戦でも同点ゴールを決め、逆転勝ちを演出した日本代表MF堂安律(24=フライブルク)も20年の正月に参拝し、絵馬を奉納した。

今回初めて、日本サッカー協会のシンボルマーク「八咫烏(やたがらす)」をあしらった「W杯限定御朱印」を用意した。ドイツに勝った後、授かる人が倍増し、スペインを撃破した後は「W杯限定御朱印」は1日に50~60枚が出るという。加藤宮司は「堂安選手は地元関西出身なので、ファンの方も多く参拝されています。御朱印をテレビの横に置き、お守りとして応援されている方もいるようです」と話した。

同神社の「足の神様」の由来は、平安の昔、「学問の神様」菅原道真が大宰府に流される途中、持病の脚気(かっけ)の回復を、この地にあった医薬の神を祭ったほこらに願をかけたところ、すっかり治ったという言い伝えがある。

加藤宮司の長男でもある加藤大志禰宜はスペイン戦当日はスペインで行われた宗教家や学者らが集う国際会議に出席していた。日本の大金星に現地では「少しざわついていたけど、お互いが決勝Tに進出し、『日本、おめでとう!』と声をかけてもらった」と振り返った。

必勝を祈念した加藤大志禰宜は「結果はどうであれ、最善を尽くしてほしい」と願った。【松浦隆司】