将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント(挑決T)敗者復活戦2回戦、藤井聡太竜王(20)対羽生善治九段(52)戦が8日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われ、後手の藤井が羽生を下した。渡辺明棋王(38)への挑戦権をかけて、藤井は佐藤天彦九段(34)と挑戦者決定二番勝負を戦う。羽生は、第40期以来の8期ぶりの棋王への挑戦はならなかった。

先手後手を決める振り駒の結果、先手となった羽生が戦型「角換わり」に誘導した。中盤の難所を経て、藤井にジリジリとリードを広げられた。最後は粘りを見せたが、劣勢をはね返すことはできなかった。

終局後、羽生は「打開の仕方にちょっと問題があったのかもしれない。ちょっとずつ苦しくなっていった」と振り返った。

中盤までの戦いについて「途中までは前例のある将棋だったが、駒がぶつかった後に何かミスをしていたような気がします。何が悪かったかは分からない」と話した。

昨年度は勝率は4割にも満たず、棋士人生で初めて負け越した。本年度は一転、7割近い勝率で絶好調だ。

年明けには前人未到のタイトル通算100期をかけて第72期ALSOK杯王将戦7番勝負(1月8日開幕)で、藤井に挑戦する。異世代のスターがタイトル戦で初めて対戦する「世紀の一戦」となる。

「夢対決」の前哨戦ともなった今回は敗れたが、タイトル戦では戦い方も変わってる。棋王戦を振り返り「ひさしぶりにいいところまで勝ち上がれた。ちょっとまだまだ力が足りない」。手応えをつかみながらの敗退となった。